マインドフルネスとは、禅や瞑想を起源とする概念で、「今この瞬間の自分の感情や思考・体験を、あるがままに観察すること」を意味します。マインドフルネス力がある方は、集中力が持続し、メンタルヘルスが良いことが分かっているため、臨床心理学や精神医学で近年注目されています。当診断では、5つの指標でマインドフルネス力を測ることができます。
マインドフルネスにおいては、自分の感情や思考に「気がつく」「観察する」という姿勢を大事にしてします。自己観察力はマインドフルネスの基礎的な部分となります。
私たちは、恐怖心や不安感を追い出そうとしてしまうものですが、マインドフルネスにおいてはこれを自然なことと受けとめ、うまく付き合っていくことを大事にしています。
ネガティブ感情に振り回されて我を失ってしまうことを「自動操縦状態」と言います。怒りや不安に巻き込まれると、感情に任せて誰かに怒鳴ってしまったり、過度に悲観的になって不安を増幅させてしまいます。
目的本位とは日本の心理療法家の古典的な考えで、感情や気分に流されず、やるべきことをやるという姿勢を意味します。いつも誘惑に負けてしまう…という方は注意が必要です。
マインドフルネスは、仏教の瞑想から始まり、1970年代にジョン・カバット・ジン博士によって西洋に紹介されました。カバット・ジンは、医療現場でストレスや病気の治療にマインドフルネスを取り入れ、その効果を実証しました。それ以来、マインドフルネスは精神衛生、健康、ストレス管理、創造性、集中力、人間関係、スポーツパフォーマンス、リーダーシップ開発など、多岐にわたる分野で利用されています。
マインドフルネスに関する尺度としては、前川ら(2015)によるSFMS尺度、藤野ら(2015)[2]による日本語版MAAS尺度、杉浦ら(2012)[3]によるFFMQ尺度など多数開発されています。一方でこれらの尺度は実生活で行動まで結びついているかまでは把握することができません。そこで本尺度では、森田療法の目的本位の考え方を盛り込むこととしました。
公認心理師、臨床心理士、心理学の大学院を卒業したものが中心となり、ブレーンストーミングを行いました。その後KJ法により、グルーピングを行い、5のグループにまとめました。その後、検討を加えたうえで質問項目を精査しました。また比較的短時間で診断が終わり、結果を把握できるようにするため、それぞれ3つの項目を採用しました。
診断結果について、それぞれのタイプごとに特徴や注意点を1,000文字前後で評価しました。文章については、先行研究や作成者の臨床経験を基に作成しました。
当診断は因子構造及び信頼性・妥当性をチェックしたものではありません。あくまで専門家としての検討を加えたものです。統計的な根拠が希薄で、研究に耐えられるレベルの尺度ではないことをご了承ください。
[1]1995: Emotional Intelligence: Why It Can Matter More Than IQ, Bantam Books. ISBN 978-0-553-38371-3
[2]Emotional intelligence as a standard intelligence. Mayer, John D. Salovey, Peter Caruso, David R. Sitarenios, Gill 2001 standard intelligence. Emotion, 1(3), 232–242.
http://www.gruberpeplab.com/teaching/psych3131_spring2015/documents/13.2_Mayer_2000_EmotionIntelligenceMeetsStandardsForTraditionalIntelligence.pdf
[3]情動知能尺度(EQS : エクス)の開発と因子的妥当性, 信頼性の検討 大竹 恵子 島井 哲志 内山 喜久雄 宇津木 成介 2001 産業ストレス研究 8(3), 153-161,
*その他の参考文献
EQ教育の効果測定のための尺度開発 小松佐穂子 岡野啓介 石川英樹 日本認知心理学会第14回大会 2016 セッションID: P3-10 DOI https://doi.org/10.14875/cogpsy.2016.0_118
EQ 尺度 マニュアル 内山喜久雄 島井哲志 宇津木成介大竹恵子 2001 実務教育出版,
Empathizing-Systemizing モデルによる性差の検討 Empathizing 指数 (EQ) と Systemizing 指数 (SQ) による個人差の測定 若林 明雄 バロン-コーエン サイモン ウィールライト サリー 2006 心理学研究 77 巻
児童用情動知能尺度の開発とその信頼性・妥当性の検討 皆川 直凡 片瀬 力丸 大竹 恵子 島井 哲志 2010 鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 25, 31-37