アンガーマネジメントは「怒りを予防・制御するための心理的対処力」として、1970年代のアメリカで本格的に広がってきました。現在では日本でも研究が盛んになってきています。
当アンガーマネジメント力診断では、怒りのコントロール力を5つの指標で測ることができます。
怒りやすい人は「常識的には〇〇だろ!」「〇〇するなんておかしい!」と考える傾向があります。一方で怒りを抑制できる人は「相手にも事情があるかもしれない」「誰でもミスはする」と考え、イライラを抑制できます。
自分の立場だけで主張すると、相手の意見をないがしろにしてしまいます。一方で、相手の立場に配慮すると、柔らかい主張となり、人間関係を維持しやすくなります。
心と体は関連しています。普段から身体的な緊張状態が続いているとイライラしやすくなります。体をリラックスさせることも、アンガーマネジメントの重要なスキルです。
診断結果には、特徴と注意点を解説させて頂きました。おすすめののコラムも掲載させて頂いています。是非参考にしてみてください。
怒りには、相手の行動を抑制させる効果がある一方で、様々なデメリットがあります。怒りやすい人は抑うつ感が強く、自己肯定感が低い傾向にあります。また、心臓や血管の病気になりやすいこともわかっています。さらには、怒りに任せて極端な行動に出てしまい、社会的な信用を失うこともあります。
そこで当診断では、怒りをコントロールできない原因を分析し、冷静になる心理療法やスキルを用いて、心と体の健康を獲得することを目的として尺度を作成することとしました。
古典的なアンガー マネジメントの開発は、1970 年代に始まりました。具体的には、認知行動療法の創始者のひとりであるMeichenbaumの影響を受けたNovaco[1]によって研究が進められました。その後、アンガーマネジメントに関連する研究は世界中でなされてきました。
一方で、尺度研究については少なく、総合的なマネジメント力に関する尺度は存在しません。そこで、関連する研究として、Stith(2002)[2]の交際時のアンガーマネジメント尺度、桜井(2002)[3]の思春期における怒り反応コーピング尺度、村上ら(2005)[4]の問題攻撃性尺度、など複数の論文を参考にしました。
公認心理師、臨床心理士、心理学の大学院を卒業したものが中心となり、ブレーンストーミングを行いました。その後KJ法により、グルーピングを行い、5のグループにまとめました。その後、検討を加えたうえで質問項目を精査しました。また比較的短時間で診断が終わり、結果を把握できるようにするため、それぞれ3つの項目を採用しました。
- ●メタ認知力
- 怒っている自分に気がつく
- 状況を客観的に把握する
- トラブルを冷静に分析する
- ●抑制的思考
- 怒りを抑える考え方ができる
- イライラしても仕方がないと考える
- 他人の短所より長所を探す
- ●建設的な主張スキル
- 怒りをため込む前に主張する
- 感情的にならず、理由を明確にして話し合う
- トラブルは建設的に話しあって解決する
- ●他者配慮
- 相手の立場に立って考える
- 怒る前に相手の言い分を聞く
- 相手の価値観を尊重できる
- ●体のリラックス
- 歩く速度や動作がゆったりしている
- 声のトーンがゆったりしている
- イライラしている時は深呼吸をする
診断結果について、それぞれのタイプごとに特徴や注意点を1,000文字前後で評価しました。文章については、先行研究や作成者の臨床経験を基に作成しました。
当診断は因子構造及び信頼性・妥当性をチェックしたものではありません。あくまで専門家としての検討を加えたものです。統計的な根拠が希薄で、研究に耐えられるレベルの尺度ではないことをご了承ください。
[1] Novaco, R.W. (1975). Anger Control: The Development and Evaluation of an Experimental Treatment. Lanham, MD, Lexington Books.
[2]Stith,S. M.,& Hamby,S. L. (2002). The angermanagement scale: Development and preliminary psychometric properties. Violence and Victims, 17,383-402.
http://www.gruberpeplab.com/teaching/psych3131_spring2015/documents/13.2_Mayer_2000_EmotionIntelligenceMeetsStandardsForTraditionalIntelligence.pdf
[3]思春期版怒り反応尺度(日本語版)の作成 桜井美加 2003 心理臨床学研究, 21, 255-265
[4]問題攻撃性尺度 問題攻撃性尺度の基準関連的構成とアサーション・トレーニングによる治療的介入村上 宣寛, 福光 隆 パーソナリティ研究 13(2), 170-182/2005
*その他の参考文献
・畑潮・小野寺敦子 (2009) エゴ・レジリエンスとタイプA行動パターンとの関係について. 目白大学 心理学研究, 5, 107-116.
・生和秀敏・内田信行(1991)「時間不安の測定」. 広島大学総合科学部紀要Ⅲ, 15, 71-85.
・瀬戸正弘・長谷川尚子・坂野雄二ほか(1997)「日本的タイプA行動評定尺度(CTS)」開発の試み. カウンセリング研究, 30, 199-206.
・若年就業者におけるキャリアアンガーマネジメントの構造: キャリアアンガーマネジメント尺度の開発
尾野裕美, 岡田昌毅 - 産業・組織心理学研究, 2014
・焦りに関する研究の概観と展望: 焦りの包括モデルの提案 西村詩織 - 東京大学大学院教育学研究科紀要, 2008
・怒り経験の鎮静化プロセスと怒りコントロール 日比野桂, 吉田富二雄 - 筑波大学心理学研究, 2006
・中学生に対する怒りのコントロールプログラム実施効果の検討 重吉直美, 大塚泰正 - 広島大学心理学研究, 2010
・「怒り」を上手にコントロールする技術 アンガーマネジメント実践講座 PHPビジネス新書 2018 安藤 俊介