人間関係を築く上では、相手の話をしっかりと傾聴することが大事です。相槌の豊かさ、相手の話を受け止める力、質問力などがあるかチェックしましょう。
人間関係を築く上では、相手の話を聴くだけでなく、積極的に自己開示をすることも大事です。日常の話題を膨らませることができるか、適度なユーモアがあるかなどチェックしましょう。
会話においては言葉だけでなく、非言語部分の印象の良さも大事になります。特に心理学の研究では、笑顔、アイコンタクト、声の明るさが重視されています。
人間関係には助け合いの側面があり、より良い人間関係を構築するためには相手への配慮も重要です。思いやりがあるか、優しい言葉がけがあるか、改めて確認していきましょう。
健康的な人間関係を構築するためには、お互いの権利を守ることが大事です。もし誰かに権利を侵害されたら、しっかり主張することも必要になります。自分を守る主張スキルがあるか検討してみてください。
現代社会では、SNSを使ったコミュニケーションも大事になってきています。現実とネットをうまく連動させて豊かな関係を築くことができているか、検討してみてください。
人間関係の構築力は、主に社会心理学を中心として研究がなされてきました。特に中心となるのは、社会的スキル、ソーシャルスキルの分野で、Argyle(1981)[1]、菊池(1994)[2]、相川(2005)[3]を中心として、研究がなされてきました。尺度の作成においては、これらの研究を参考にしました。一方で、現代社会では、インターネットの発展もあり、SNSの活用など新しいスキルも必要になってきています。そこで当尺度ではSNSの活用も含めた尺度を作成することとしました。さらには価値観が多様化し、様々なタイプの人と柔軟に関係を構築する心構も大事になってきます。そこで心理面からも分析できるように作成することとしました。
公認心理師、臨床心理士、心理学の大学院を卒業したものが中心となり、ブレーンストーミングを行いました。その後KJ法により、グルーピングを行い、8のグループにまとめました。その後、検討を加えたうえで質問項目を精査しました。また比較的短時間で診断が終わり、結果を把握できるようにするため、それぞれ3つの項目を採用しました。
- ●傾聴スキル
- 相槌を豊かにうつ
- 相手の話を肯定する方だ
- 質問がすぐに思い浮かぶ
- ●発話スキル
- 自己開示をする方だ
- 話題を膨らませて話すことができる
- ユーモアのある話ができる
- ●非言語力
- 笑顔が豊富にある
- アイコンタクトをしっかりする
- 声が明るい方だ
- ●他者配慮スキル
- 相手の表情をよく見る
- 困った人に気がつく
- やさしい言葉がけができる
- ●主張スキル
- 嫌なことは断る方だ
- 自分の権利を守ることができる
- 建設的に話し合うことができる
- ●前向きさ
- 人間関係を豊かにすることは大事だと思う
- 人と接することは楽しいと思う
- たくさんの人と話して見聞を広げたい
- ●アンガーマネジメント力
- 声を荒げて怒ることがない
- イライラする気持ちを抑えることができる
- 人の失敗には寛大な方だ
- ●SNSの活用スキル
- SNSを活用しながら人間関係を築く
- 最新アプリの使用には前向きな方だ
- SNS上で批判するときは慎重になる
診断結果について、それぞれのタイプごとに特徴や注意点を1,000文字前後で評価しました。文章については、先行研究や作成者の臨床経験を基に作成しました。
当診断は因子構造及び信頼性・妥当性をチェックしたものではありません。あくまで専門家としての検討を加えたものです。統計的な根拠が希薄で、研究に耐えられるレベルの尺度ではないことをご了承ください。
[1]Argyle, M. (1981). Social competence and mental health.
[2]社会的スキルの心理学一100 のリ スト と その理論一 菊池章夫 ・ 堀毛一也 1994. 川島書店
[3]成人用ソーシャルスキル自己評定尺度の構成 相川 充 藤田 正美 東京学芸大学紀要 第1部門 教育科学 56, 87-93, 2005
*その他の参考文献
友人関係への動機づけ尺度の作成および妥当性・信頼性の検討―自己決定理論の枠組みから― 岡田 涼 2005 パーソナリティ研究,14,pp.101-112.
新たな親密性尺度の作成 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要 5(1), 1-7, 2011
メタ・ソーシャルスキル 測定尺度作成の試み 石井 佑可子 京都大学大学院教育学研究科紀要 (53), 286-298, 2007
社会的スキルを測る : KiSS-18ハンドブック 菊池章夫 社会心理学研究 23(2), 203-204, 2007