まずは当診断の概要を簡単に解説させて頂きます。
ビッグファイブ理論は「人間の基本的な性格は5つの要素から成り立つ」とする理論です。ビッグファイブは統計的な検証がなされており、世界中の論文で使われている、信頼性の高い指標です。
尺度を作成するにあたって、まずは先行研究を調査しました。ビッグファイブ尺度については、CostaらによるNEO‐PI‐R尺度[1]、小塩らによるTIPI-J尺度[2]、和田らによるBig Five尺度[3]、など、複数存在します。尺度の作成にあたってはこれらの先行研究を参考にしました。また、各性格についての長所と注意点を作成するにあたり、ビッグファイブとメンタルヘルスの関連研究も調査しました。
論文の調査後、それぞれの測定項目について、公認心理師、臨床心理士、心理学の大学院を卒業したものが中心となり、検討を加え質問項目を精査しました。5因子についてそれぞれ3つの質問を設定し、合計15問の尺度を作成しました。
- 1:会話をすることが好きだ 外向性
- 2:にぎやかなことが好きだ 外向性
- 3:元気がよく活発である 外向性
- 4:心配することが少ない 情緒安定
- 5:傷つきにくいほうだ 情緒安定
- 6:緊張しないほうだ 情緒安定
- 7:想像力が豊かだ 開放性
- 8:臨機応変に対応できる 開放性
- 9:好奇心旺盛である 開放性
- 10:計画性がある 誠実性
- 11:課題に一生懸命取り組む 誠実性
- 12:ルールや約束を守る 誠実性
- 13:相手の立場に立って考える 調和性
- 14:思いやりがあるほうだ 調和性
- 15:世話好きな方だ 調和性
質問項目数
5因子×各3問
3件法 はい どちらでもない いいえ にそれぞれ加点
高中低の基準
5~6点 高い、3~4点 中程度、0~2点 低い
診断結果について、それぞれのタイプごとに特徴や注意点を1,000文字前後で評価しました。文章については、先行研究や作成者の臨床経験を基に作成しました。
当診断は因子構造及び信頼性・妥当性をチェックしたものではありません。あくまで専門家としての検討を加えたものです。統計的な根拠が希薄で、研究に耐えられるレベルの尺度ではないことをご了承ください。
[1]Costa , P .T ., & McCrae ,R .R .1989 The /NEO −PII/VEO −FFI manual suψPlement.Odessa,FL :Psycholeglcal Assessment Resources
[2]日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み 小塩 真司, 阿部 晋吾, Pino Cutrone パーソナリティ研究 21 巻1号 2012
[3]性格特性用語を用いたBig Five尺度の作成 和田 さゆり心理学研究 67 巻 1号 1996-1997
*その他の参考文献
・Gough, H.G. & Heilbrun, A.B., 1983 The adjective check list manual. 1983ed. palo Alto,C.A.
・5因子性格検 査短縮版(FFPQ-50)の作成 藤島 寛・山田尚子・辻平治郎 パーソナリティ研究,13, 231–241. 2005
・自己肯定感と自己のパーソナリティに対する意識との関係について : ー短縮版ビッグファイブ尺度に基づく検討ー 河村 壮一郎 2018 鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要第76号
・玉瀬耕治・岩室暖佳(2004)「関係性の維持と個の主張に関わる問題-『甘え』とアサーションを指標として-」奈良教育大学学校教育講座(発達心理学)pp.39-44.
・谷伊織 ・天谷祐子(2009)「性格特性の5 因子と共感性および孤独感の関連」日本パーソナリティ心理学会大会発表論文集 (18) pp.132-133.
・堂坂更夜香(2016)「アドラー心理学におけるライフスタイル診断シートの開発とビッグファイブ性格特性との関連性」早稲田大学人間科学学術院 人間科学研究 29(1)p.107.
・谷伊織 ・天谷祐子(2011)「5因子性格特性と自己愛的甘え,ユーモア態度との関連」日本パーソナリティ心理学会大会発表論文集 (20) p.42.
・浅野壮志・小田島 裕美・宮 聡美・阿久津 洋巳(2008)「性格5因子とポジティブ・ネガティブ感情,ストレス反応,対人不安の関 連」岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (7)pp.116-128.